2017年06月28日

戦後日本ジャズの黎明期以来、勇名を馳せた男が今ふたたび吠える!

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 世の中を、野球好きとサッカー好きにわけたら、間違いなく渡辺正典氏は前者に入る。現役最高齢のディキシー喇叭(らっぱ)族は、その著書「ジャイアンツブルース」にも克明に記されているように、今の原監督の現役時代のテーマ曲(「エイトマン」の次のヤツ)を手がけたのを始め、なんと80数曲も選手の応援歌を作曲している熱血巨人ファンなのである。そして「戦いすんで」は、巨人軍が勝利した試合後にライトスタンドから吹いていたオリジナル。
「最初はレコードキャンペーンで、球団に3日間だけ許可をいただいて始めたんです」
 ところがそれが当時の公認応援団から気に入られ、野球場でのトランペットの効果に開眼。渡辺氏も満場の観客からの喝采を浴び、やがて野球そのものの魅力に開眼し、お互いにずっと続けることになったのだ、という。
「もともとなにか、身体を思いっきり使うことをやりたかったんです。生まれも育ちも横須賀で、帝国海軍軍楽隊のマーチで育ったんですから、あんなふうに思いっきり吹いてみたい、と願っていたんです」
 終戦後は、学業の傍ら進駐軍を回るバンドで楽器を学んだ。持つだけで吹いてはいけない「かかし」をしながら先輩の技を盗み、いつしか学業を放り出して音楽の道へ。
「せっかく用意してくれた就職の道も放り出しちゃって、もうえらく怒られました。まっとうな道へ、というんだが自分はこっち(喇叭)こそ『まっとうな道』だと思っているから、話がかみあうわきゃないよね(笑)」
 後に「ゴテナベ」と異名をとる強烈な個性は若き日から筋金入りだった。その後の戦後ジャズの隆盛期をともに歩み、今も「本業はディキシー」と語る「ゴテナベ」さんの喇叭は、本当に熱い。
「喇叭は、全身で吹くものですから、健康にもいい(笑)。いいメロディを心を込めて吹く。野球場でもライヴハウスでも、基本は同じです。毎日吹かなきゃ、心は楽器に伝わらないし、楽器は心をヒトに伝えてくれない。喇叭は心そのものなんです」
 喇叭吹きの戦いは、まだまだ続くのだ。

愛用のモデルはゴールドプレートのV.バック。CDは、渡辺氏も参加している「トランペット演歌」(6枚組)。演歌からトラッドジャズまで、渡辺氏の本領があますところなく収録されている。独特の、ひとことひとこと語りかけるような、歌詞を意識した演奏が魅力。一番と二番とで、旋律を吹き分けているのだ。「ここにはニニ・ロッソも収録されているんですが、彼ともその昔共演したことがあるんですよ」。他には加藤隆司、杉村彰氏が参加している。いずれも日本人の琴線に触れる演奏。通販限定だが、喇叭吹き必聴の1セットである。

「これ、リムがはずれるんですよ、これこの通り!」と見せてくれた愛用のワーバートン2番のリムに3Vのカップと9Mのシャンク。「メッキがはげかかっているんで、はずかしいんだけどね(苦笑)そのときの調子によってカップの深さを変えるんです」。終始にこやかに取材に応じてくださった。野球と、トランペットをこよなく愛するその想いが、太い声の響きをともなってびんびんとこちらにつたわってきた。

取材中、ふと目をつぶり楽器を眺める渡辺氏。氏の楽器生活(と、ジャイアンツ生活)は、上の写真にもある著書「ジャイアンツブルース」(コスモヒルズ刊)に克明に描かれている。強烈な個性ゆえ「ゴテナベ」と異名をとった渡辺氏。著書の肩書きには「ライトスタンド・トランペッター」とある。世界広しといえども、その肩書きが似あうのは「ゴテナベ」さんだけだろう。
posted by GOTENABE.GIANTS at 00:27| Comment(40) | TrackBack(1) | PROFILE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
ロマンあふれる憂愁の音色で、多様なサウンドを紡ぎ出す楽器、トランペット。このCD集は、そんなトランペットと有名楽曲のユニークな新たな出逢い。「アカシアの雨が止むとき」といった昭和歌謡の名曲から、「さくら貝の歌」などの抒情歌、「マイ・ウェイ」などの世界のヒット曲まで。渡辺正則、ニニ・ロッソをはじめとする実力派のトランペッターがお届けする、独自のサウンド世界
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